私たちの体は食べているもので出来ている
食べものは体をつくるものだから
昭和 21 年、「黒はんぺん」や「なると」を家族で作り始めてから 77 年。
鰹節造りの名人と言われるほどの職人であった創業者。父を乗り越えようと練り製品の商品開発と販路開拓に力を注いだ二代目。
三代目の私は、病を患っていた母を支える中で、いろいろな方々に出会い、教えられ、認識を新たにしたのが「私達の体は食べているもので出来ている」ということでした。
幸い、家業は練り物屋。「おいしくて、体によいものをつくって皆に喜んで笑顔になってもらえれば・・・」との想いから家業を継ぎ、2006年の世代交代を機に、添加物に依存しない「素材を生かしたものづくり」が始まりました。
余分なものは使わずにおいしさを
練り製品づくりには、添加物を使用することが一般的とされる中で、何をどのようにすれば無添加でも美味しい味になり、皆さんに喜んでいただけるものができるだろうかと、試行錯誤を繰り返しました。そして、辿り着いた基本の調味料が、精製されていない塩:岩塩「アンデスの紅塩」でした。
「塩」は、練りものづくりにおいてとても重要です。特に、弊社は昔ながらの石臼づくり製法により、「塩摺り」という工程で旨みと食感をつくり出しています。化学調味料で味を整えるのではなく、この「塩摺り」だけで安定した味づくりを目指すことになりました。
精製されていない岩塩には、鉄分・カルシウム・マグネシウム等のミネラルが含まれ、天然の力により素材の旨みを引き出すことができ、特に青魚を主原料とする弊社の黒はんぺんには最適な塩でした。
砂糖もミネラルが含まれ、精製度が低い「喜界島の粗糖」と、天然の力で発酵させた「魚醤」を使用することで、「使わなくてもよいものは使わずに、調味料を厳選した味づくり」が完成しました。
命の水を使用
もう一つ大事なこと、いえ最も重要なことは「水」へのこだわりです。昔から、魚の資源が豊かで良質な水に恵まれている土地では、練りものづくりが盛んです。ありがたいことに、焼津は大井川の伏流水を引き込んだ水を市水として活用しているので、水産加工に適した土地柄です。
弊社では、この恵まれた環境での水を、特別な装置により更に幾重にもろ過して、高品質な水を工場全体で使用しています。水は鰯の洗い水に、製氷に、のばし水に、茹で水に、そして蒸す時の水に、あらゆる製造工程で力を発揮してくれています。添加物に依存しないで、素材本来の旨みを引き出すことができるのは、この水の力が大きいのです。
いわし骨ごと、旨みたっぷりの「黒はんぺん」
弊社の「いわしはんぺん(黒はんぺん)」は、地元焼津(小川港)で水揚げされたマイワシを主原料に、骨ごとミンチにしてサバ、タラスリミを加え、青魚の栄養と旨みたっぷりの製品に仕上げています。
鰯は文字通り、魚ヘンに弱いと書くほど足(鮮度落ち)が早いので、前浜(駿河湾)で獲れた魚をできる限り早く冷凍し、鮮度を保った状態で保管して加工しています。
また、サバを主原料にしている黒はんぺんメーカーが多い中で、骨ごと使った「いわしはんぺん」は、カルシウム他、DHA/EPAの含有量も多く、今後は更に健康志向の高い商品開発を検討中です。
受け継がれた技術を更に
素材と水を生かすのは、職人の技術です。添加物の力を借りずに、「塩摺り」が味と食感の決め手となる製法は、魚の身質、季節(温度、湿度)によって調整が必要とされます。長年の経験・勘に加えて、素材・製品の検証により、良いものづくりを極めていきます。